遺伝性血管性浮腫(HAE)の情報サイト「腫れ・腹痛ナビ」
知っておきたい「医療費助成制度」

HAEのエイチ・エー・イーの患者さんが
利用できる医療費助成制度

HAEエイチ・エー・イー患者さんが利用できる2つの制度について

こちらでは、遺伝性血管性浮腫(HAE)患者さんが利用できる医療費助成制度と手続きの方法をご案内しています。「指定難病における医療費助成制度」、「小児慢性特定疾病における医療費助成制度」という2つの制度があります(図1)。
認定を受けるためには条件(重症度等)がありますが、申請して認定を受けると、自己負担を軽減できる場合があります。一般的には、医療機関で治療を受けたときに窓口で支払うのは医療費の3割です。これらの制度を利用すると、患者さんが窓口で支払うのは2割が上限となるほか、月あたりの自己負担の上限額が設定されます。
※公的医療保険(健康保険)でもともと2割負担、1割負担の人は、そのままとなります。

図1 遺伝性血管性浮腫(HAE)患者さんが利用できる医療費助成制度
図1 HAE患者さんが利用できる医療費助成制度

指定難病や小児慢性特定疾病の医療費助成を受けるためには、診断書と必要書類を合わせて、お住まいの都道府県等の窓口(保健福祉担当課や保健所等)へ申請しましょう(図2)。都道府県等に申請し認定されると「医療受給者証」が交付されます。医療受給者証といっしょにもらう「自己負担上限額管理票」を持って、決められた医療機関に行って、遺伝性血管性浮腫(HAE)の治療を受けます。月あたりの自己負担の上限額を超える金額を負担することはありません。
はじめて手続きするときの方法は、こちら
18歳以上の患者さん→「指定難病の医療費助成を利用するための手続き」へ
18歳未満の患者さん→「小児慢性特定疾病の医療費助成を利用するための手続き」へ

図2 申請して認定されるまでの主な流れ
図2 申請して認定されるまでの主な流れ

難病指定医または小児慢性特定疾病指定医が所属する医療機関は、お住まいの都道府県等の窓口にお問い合わせください。
⇒お問い合わせ先はこちら(指定難病小児慢性特定疾病

さらに、くわしく遺伝性血管性浮腫(HAE)患者さんの利用できる2つの制度について、みてみましょう。
さらに、くわしく
遺伝性血管性浮腫(HAE)患者さんが利用できる
2つの制度について、みてみましょう。

表 遺伝性血管性浮腫(HAE)患者さんが利用できる制度の概要
利用できる制度 指定難病における
医療費助成制度
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小児慢性特定疾病における
医療費助成制度
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利用する患者さんの年齢 18歳以上 18歳未満※1
申請の方法 都道府県等に患者さん本人または保護者が申請 都道府県等に患者さんの保護者が申請
窓口 お住まいの地域を所管する健康福祉センター、保健所 等
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お住まいの地域を所管する健康福祉センター、保健所 等
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認定を受けられる条件 いずれかを満たす場合
(1)症状の程度が一定以上である(重症度分類で、中等症以上)
または
(2)医療費の総額が33,330円を超える月が年間3回以上ある※2
(軽症者の特例)
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(1)遺伝性血管性浮腫(HAE)にかかっている18歳未満の児童等
かつ
(2)治療で補充療法が必要となる場合
  詳細はこちら
認定を受けたときの医療費の自己負担 ・患者負担割合は2割が上限※3
・ひと月の自己負担は上限額の範囲内(世帯の所得に応じて)
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・患者負担割合は2割が上限※3
・ひと月の自己負担は上限額の範囲内(世帯の所得に応じて。指定難病の制度と比較して、自己負担が約半分)
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認定の有効期間 ・原則1年以内
・継続する場合は、1年ごとに更新する必要がある。
その他の注意事項 「原発性免疫不全症候群」に含まれる病気として認定。 遺伝性血管性浮腫(C1インヒビター欠損症)として認定。
※1
18歳到達時点で小児慢性特定疾患治療研究事業の対象になっていて、かつ、18歳到達後も引き続き治療が必要と認められる20歳未満の患者さんも含まれます。なお、18歳以上の成年患者は「本人名義で申請手続き」をする必要があります。詳しくはお住まいの地域の申請窓口でご相談ください。
※2
例えば、加入している健康保険の自己負担割合が3割の場合、自己負担額の合計が1万円以上になった月が年間3回以上ある場合に該当します。
※3
健康保険における負担割合がもともと1割または2割の人は、その割合が適用されます。

あわせて知っておきたい高額療養費制度

公費による医療費助成制度とは別に、公的医療保険(いわゆる健康保険)における自己負担軽減のしくみとして、「高額療養費制度」があります。これは、自己負担が高額になったときに所定の限度額を超えた分が払い戻される制度です。疾患にかかわらず、健康保険を使って受けた医療が対象になりますので、遺伝性血管性浮腫(HAE)の患者さんで、医療費助成制度を利用しない場合や、認定を受けられなかった場合、健康保険を使った治療であれば、この高額療養費制度の自己負担限度額を超える金額を自己負担することはありません。

医療費助成制度との併用における取り扱い

指定難病や小児慢性特定疾病の医療費助成制度は、「保険優先の公費医療」といって、医療費の一部負担金が高額になったとき、まず公的医療保険の高額療養費制度が優先して適用され、そのうえでさらに残る自己負担額(図3のA)を公費の対象として、医療費助成制度でカバーするしくみになっています。医療費助成制度の対象患者さんが実際に自己負担するのは、公費の対象となる金額のうち、医療費助成制度の(図3のB)までで、残りは公費で負担されます。

図3 医療費助成(公費医療)を受ける場合の医療費負担のイメージ
図 医療費助成(公費医療)を受ける場合の医療費負担のイメージ

なお、一部負担金が高額療養費制度の自己負担限度額を超えない場合は、医療費助成制度だけが適用されます。いずれにしても、医療費助成制度の自己負担上限額を超える費用を負担することはありません。