遺伝性血管性浮腫(HAE)の情報サイト「腫れ・腹痛ナビ」
遺伝性血管性浮腫(HAE)について

HAEとのつきあいかた

監修:福岡市民病院 院長 堀内 孝彦先生

日常生活で気をつけること

1発作を起こす引き金を1つでも減らしましょう。

遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作は突然起こり、予測がつかないことが多いかと思いますが、何かの引き金によって発作が起こるときがあります。

発作の引き金の1つとして、精神的ストレスや過労などの肉体的ストレスが知られています。
できるかぎりストレスを軽減するために、日々の生活に運動を取り入れたり、栄養バランスの取れた食事をしたり、睡眠を十分にとったりしましょう。

抜歯などの歯科治療や外科的手術も発作を引き起こす可能性があります。
歯の治療をする前は、主治医の先生と歯科医の先生の両方とよく相談しましょう。
ほかの病気で手術が必要となったときも、治療の計画の段階から、主治医の先生にも相談しましょう。

使用している薬が発作の原因になる場合もあります。
特にエストロゲンを含む経口避妊薬(ピル)や更年期障害などに対するホルモン補充療法、高血圧の薬であるACE阻害薬は、遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作の頻度を高めたり、発作を引き起こしやすくしたりする可能性があります。医師や薬剤師に相談しましょう。

女性の場合は、生理や妊娠・出産が発作を引き起こす場合があります。
発作の起こるパターンが月経周期と一致しているかもしれません。
スケジュール帳やカレンダーに発作の起こった時期をメモしておくと役に立つかもしれません。
妊娠・出産については、主治医の先生に相談しましょう。

避けることができる発作の引き金は、なるべく避けましょう。

①発作を起こす引き金を1つでも減らしましょう。

2病気のことを周りに伝えておくようにしましょう。

発作のため、学校や仕事に行くことができない日があるかもしれません。
体調が悪くて、サポートが必要なときもあるかもしれません。

ご自身がくり返し腫れやすい体質を持っていることや発作時の対処法などを、学校や会社、友人に伝えておくとよいかもしれません。

発作が急に起こったとき、異変にすぐに気づいて、慌てず迅速な対応ができるように周囲の人達にも心の準備が必要だと思われます。

患者さん自身が安心した日常生活を送るためにも、必要な人に必要な情報を伝えることが重要でしょう。

3発作に備えましょう。

遺伝性血管性浮腫(HAE)は、いつ発作があらわれるのかわからないことが多いでしょう。
しかし、「今から腫れやむくみが出てくるぞ」という発作のサインとなる症状があらわれることもあります。

その1つの症状が環状紅斑(写真)と呼ばれる環状の紅い発疹です。
腫れやむくみが起きる前にあらわれます。
じんま疹とよく似ていますが、通常かゆみはありません。
ほかにも皮膚がピリピリしたり、疲労や倦怠感を感じたりすることがあります。

このような発作の前兆となるサインを知っておけば、発作に備えることができるでしょう。

環状紅斑
環状紅斑

4HAE(遺伝性血管性浮腫)の発作(腫れ)の部位がどこであっても、早期治療をすることが重要です。

①発作を起こす引き金を1つでも減らしましょう。

なぜ発作(腫れ)を我慢しなくて良いのか?

HAE(遺伝性血管性浮腫)のすべての発作は生活に影響をおよぼすことがあるため、どの部位の発作でも早期治療をすることが重要です。
HAE発作の重症化予防と早期回復のためにも早期治療をしましょう。

①発作を起こす引き金を1つでも減らしましょう。

国内外のHAE診療ガイドラインにおいても、発作(腫れ)の部位によらず、早期治療が重要であると記載されています。※1 ※2

※1
世界アレルギー機構、欧州アレルギー・臨床免疫学会「遺伝性血管性浮腫診療のためのWAO/EAACI国際ガイドライン‒2017年改訂・更新版」
※2
日本補体学会「遺伝性血管性浮腫 診療ガイドライン 改訂2019年版」

旅行や出張に行くとき

旅行や出張に行くときは、現地での発作に備えておくと安心です。
事前に主治医の先生に相談して、遺伝性血管性浮腫(HAE)の治療可能な医療機関を教えてもらったり、紹介状を書いてもらったりなど、発作時の対応を確認してください。

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